目次
トーイングカーとは
空港内屈指の力持ち
トーバーの話
トーイングカーの特徴は?
トーバーレストーイングカー
脚立と秘密の抜け穴の話
ギャラリー
今後のトーイングカーの行方は?
トーイングカーとは
空港でスポット(駐機場)から滑走路まで飛行機が移動する場合、飛行機を後退させる必要がある。しかし、普通の旅客機は自力で後退できないので後方に押し出す必要がある。この作業を一般的に「プッシュバック」といい、プッシュバックに使われる特殊車両を「トーイングトラクター」ないしは「トーイングカー」と呼ぶ。(本記事ではトーイングカーと表記することにする)
また、エンジンを切る必要がある格納庫への機体の出し入れや、燃費の都合上エンジンを切ったままの飛行機を移動するのにも使われる。
空港内屈指の力持ち
大きい旅客機では自重300tを超えるため、トーイングカーは空港内屈指の力持ちだ。
例えば、国内の多数の空港で使われているコマツWT-500Eについて言えば出力308ps(≒227kW)という怪力だ。エンジンはそこら辺で見かけるブルドーザーのエンジンともさほど変わらないS6D125型、直列6気筒ターボディーゼルエンジン。
ちなみに車両自重は50tはあるらしい。
トーバーの話
飛行機との接続に使われるのがトーバー(英:Tow bar)である。上の写真に写っているオレンジの棒だ。このトーバー、機体によって車輪の構造が違うため何種類も用意されている。(下写真はwikipediaより)運転には、支点が2つあるため熟練を要する。
また、トーバーを必要としないタイプも存在する。(後述)
トーイングカーの特徴
また、先述したようにエンジンを切った機体を牽引するため、電源供給用の発電機(GPU)まで備えている。
面白いのはこれらのトーイングカー、前後どちらにも動くことができる。トーバーを接続する金具は、両方についている。キャブ内にある座席は回転し、常に前を向いて運転できる。
例外もある。
トーバーレストーイングカー
ところで、先程のトーバーを使用しないタイプもある。名前はそのまま「トーバーレス・トーイングカー」という。
写真の通り、トーバーを介さず直接タイヤを抱え込んでいることが分かる。
このタイプ、機体の下に潜り込むため車高は低く抑えられている。
写真の車両は、先程と同じくコマツ製WZ4000というタイプ。
形は特徴的である。車体後部は大きく開いている。ここにタイヤを挟み、10cmほど浮かせて牽引する。そのため、一般的なタイプの牽引最高速度が15km/hであるのに対し、こちらは最高速度が30km/hと俊足(プッシュバックはどちらも8km/h)である。航空無線から聞こえてくる「スピーディ」がそのコールサインだ。そのため、普通の一般的なトーイングカーに比べて車体が大きく、パワーもある。先程のコマツWZ4000を例にすると、515ps(≒379kW)、すなわちWT500Eの1.7倍ある。
しかし、その構造がゆえ、接続・解放に時間がかかるのがウィークポイント。
動画はこちら↓
そのため、日頃のプッシュバックで使用されることはほとんどなく、早朝や深夜に沖止め(ターミナルビルから離れたスポットに駐機すること)されている機体の移動や、格納庫への出し入れに使われることがほとんどである。(動画↓)
[GSE MovieSeries#01] トーバーレス・トーイング(Towbarless Tractor)
こちらも同様、車両の前後にライトが付いていて座席が回転する。
脚立と秘密の抜け穴の話
ところで、トーイングカーに載っている脚立は何に使う?と思った方もおられよう。
先程、発電機がついていると述べたことに大きく関係する。
写真に写っている機体の電源(すなわちAPU:補助動力装置)は入っていない。
では、電源をつけるにはどうするか。
コックピットに入ればよい。
では、コクピットに入るにはどうすればよいか。
機体横にある扉を開ければよい。
扉を開けるには、内側から…アレ?
機内に入れない???
ということになる。
そこで、コックピットに入る”秘密の抜け穴”の出番だ。上の写真をよく見るとコックピット内に人影がいる。そう、すなわちランディングギアからコックピットに通り抜けられるわけだ。実際、これは目撃証言があるので良かったら読んでほしい。
その後、APUを付けてボーディングブリッジと接続、という流れだ。
もちろん、B777のように”秘密の抜け穴”がなくても、先述したGPUで給電することも出来る。
ギャラリー
ゴールド・ホッファー社は大きさごとにラインナップがある。
大きい順にAST-1、AST-2、AST-3
羽田空港ではAST-1の新旧両車種をみることができる
もっと知りたい方はこちらを
今後のトーイングカー行方は?
ところで、一般的なタイプのトーイングカーだが、今後は活躍の場が減ると予測される。
以下、wikipediaから引用
トーバー(英: Tow bar、トウバーとも)という棒を、航空機の前脚と車両の間に接続する方式でトーバー自体は手動で機体と連結し、外す必要があり時間がかかり、航空機との連結点と車両との連結点との両方が屈折する。構造上日本国内では基本的に、最高速度は時速15キロメートルと決められている[4]。大きな荷重が加わった際、破断することでトラクターと航空機の双方をダメージから守る、シェアピン/シアピン(シェアボルト/シアボルト、ヒューズピン)が用いられる。シェアピンのせん断限界は、機体ごとに異なるノーズランディングギアのストラクチャーダメージ許容度に合わせ、数種類設定されている。同様に、ランディングギア側のトーバー取り付け部も、機種により形状が異なる場合が多い(B767、B777、DC10、A330、A340等は、オプションにより形状が統一されているエアラインもある)。そのため、機種によりトーバーを付け替える必要があり、複数の機種をもつ航空会社は、必要な種類のトーバーを用意しなければならなかったり、運用時には航空機側のコックピットにブレーキマン(運航時はパイロット)が乗り込み、機体を円滑に停止させ、機体へのダメージ軽減のため、車両と航空機の双方が同じタイミングでブレーキを操作する必要もある。[要出典]例えばトラクター側だけでブレーキをかけた場合、飛行機の惰性によってノーズランディングギアに慣性力が集中してジャックナイフ現象を起こし、破断するが破断方向によっては、トーバー本体に応力が作用し、結果的にノーズランディングギアが損傷してしまうなど人員や技術が必要で育成する費用や時間もかかり、後述のトーバレスや電気自走タキシングシステムと比較しても航空機の燃費にも良くなく効率が悪いため、今後は減少していく可能性がある。
車両自体はトーバーを接続できればよいため専用車両を導入せず、ピックアップトラックにトーバーを追加した多目的車両や農業用の小型トラクターなどを流用することで機材コストを抑える組織もある。
トーバーレストーイングカーについては
トーバーレス・トラクター[編集]
航空機の降着装置を十数センチメートル持ち上げ、トラクターが抱え込むようにして移動させる。移動速度は時速およそ30キロメートルとトーバータイプに比べて構造上高い速度が出せる。機種のハンドリングデータさえあればトーバーレストラクター1台でどの機種もハンドリングできるが、トラクターにも大きさが様々あり、小型のトーバーレストラクターでは大型機はハンドリングできず、大型のトラクターは機体の地上高以下の車高でないと小型機はハンドリングができない。また、小型ジェット機のようなジェットスタージャパンの成田空港の一部便では人員抑えるため、主脚の片側に取り付けられ、一人の地上作業員がコクピットと連絡を取って、車両を遠隔操作出来る独schopf社のパワープッシュと呼ばれる車両を使用している[5]。なお、このパワープッシュでの旋回はコクピット操作で行うが、操作するコックピットから機体後方の安全確認が難しく、プッシュバックのみに使用され、他の車両のような航空機牽引(トーイング)作業には使用されないなど、制限が多い[6]。ゴールドホッファーやGHH Fahrzeugでは座席が180度回転することで後部の視界を確保し、車両単独で全ての作業が完結する車種も存在するが、回転機構を搭載しているため車両価格が上昇する。
とともに、
2010年代になって航空機の空港での運用時におけるエンジン運転の二酸化炭素の排出や騒音が問題視されるようになり、特にヨーロッパを中心にプッシュバックから滑走路までのタキシング時にエンジンを始動させないで走行出来るように電気自走タキシングシステム[2]やトーバーレス・トラクターを進化させたハイブリッド電気牽引車[3]の 開発研究が進み、WheelTugのような後付けシステムも登場している。
とも述べられている。とくにアムステルダム・スキポール空港ではすでに、トーバーレストーイングカーによる運用が始まっている。
流れとしては、飛行機が着陸するとすぐにトーバーレストーイングカーに接続し、そのまま飛行機はエンジン切って牽引されるだけ。これはと”トーバーレス”ならではないだろうか、しかもエコ。
将来的には完全無人、完全電動を目指すとはいえ、すでにここまで来ているのは、さすが環境大国オランダと言ったところか。
これを読む限り、トーバーレストーイングカーの活躍の場は増えていきそうだ。
時代とともに、”トーイングカーの在り方”も変わってきているのだ。(完)
参考までに
トーイング・トラクター | クルマノエホン livres d'images de voitures ~○○○のブログ~